軌道エレベーターは宇宙への道を繋ぐか?

地球と宇宙を繋ぐ輸送手段がある。軌道エレベーターは、地上と宇宙を繋いで、その間の輸送を担う役割をする。ロケットのような推進力で動く輸送手段と比べて輸送コストが大幅に安くなる。そのために建設が熱望されている。今のところSFの中でしか登場しない。それが素材技術の発達により脚光を浴びるようになってきた。

軌道エレベーターの仕組み

地球と同じスピードで回る静止軌道(地上36000km)に宇宙ステーションを設置すると、地上に落ちずに常に同じ位置に置ける。そこから上下にケーブルを伸ばしてうまくバランスを取ると、理論上はステーションがバランスを保って静止軌道上で安定し続ける。
その状態でステーションと地上をケーブルで繋げると、ケーブルを伝わって昇降機で輸送することができる。それにより低エネルギーで物資や人を運ぶことができる。その動力として摩擦の少ないリニアモーターを用いることを検討している。
軌道エレベーターはロケットのように運ぶ重量の90%以上を燃料が占めることが無くなり、より効率的に宇宙開発ができるようになる。物資の大量輸送が実現できる。それにより宇宙開発が盛んになる。
ロケットでは1kg100万円で運ぶのが、1kg1万円以下まで下がるかも知れない。しかも、好きな時に大量に運べるようになる。夢の時代が始まりそうだ。

軌道エレベーターとカーボンナノチューブ

軌道エレベータには、丈夫な素材が必要になる。以前は、耐久性のある素材が無かったために、実現不可能な物だと思われていた。それがカーボンナノチューブの登場により変わって行く。
カーボンナノチューブは、炭素が六角形に繋がったシートが丸まったような形をしている。輪の直径は数ナノメートル(1ナノは0.000000001)。長さは最大で1mまで繋げることができる。
カーボンナノチューブは、アルミの半分の重さ、鉄の数十倍の強度を持つ。強度がきわめて高いことで、軌道エレベーターのケーブル用の素材として期待されている。

大林組の宇宙エレベーター構想とは

大林組の宇宙エレベーター構想では、96000kmの高さにカウンターウエイトを置いてバランスを取り、宇宙エレベーターを安定させる設計である。
建設時には、ロケットで高度300kmの低軌道上に建設用宇宙船を組み立てる。宇宙船は静止軌道まで電気推進で上昇する。
静止軌道に着いたら、宇宙船からケーブルで繋いだスラスターを分離して、宇宙船は上に、スラスターは地上に向かう。八ヶ月で宇宙船はカウンターウエイト位置に着き、スラスターは地上に着く。こうして地上と96000kmの高度にケーブルが繋がる。

地上から工事用の昇降機でケーブルを増強すると、運んだ後の容器をカウンターウエイトにしていく。500回運ぶと、100tの重さに耐えるだけのケーブルになる。ステーションの構造物は三角柱のユニットとして運び、それを膨らませて幾つも組み合わせると、必要な構造を造っていく。構造物の配置は縦置きになる。

この構想では、静止軌道や低軌道の衛星を投入するゲートだけじゃなく、それ以外にも木星や火星に行ける連絡ゲートを持つ。それを用いて効率的に宇宙開発を進めていく。

静止軌道には静止軌道ステーションが置かれて、そこに様々な施設が建設される。また低軌道の重力が低い位置には月や火星の重力を模擬した施設があって、研究ができるようになっている。
地球側の取り付け部分は、アースポイントと呼ばれていて、海上に浮いた状態で固定されている。海中トンネルで陸地と繋がっていて、そこにはホテルや空港設備が造られる。

建設に置ける問題点

まず、建設がうまくいくかわからないこと。これまでに使ったことがない技術なら、課題が幾つも出てくる。
設計通りに可能かどうか疑問がある。軌道エレベータの軌道が安定しなければ、バランスを崩す。それで全てが地上に落下して大惨事を起こしてしまう。
シミュレーションではうまくできても、実際に行おうとうまくできるかわからない。それでバベルの塔のようになってしまう。これが危険だと思えば、建設に反対する人も出てきそう。
次にカーボンナノチューブの値段である。現在は1g1万円もする。安くするなら1g2百円くらいになるようだけど。1kg30円の鉄に比べたら高すぎる。素材が安くならないと、建設コストが膨らむ。

軌道エレベーターが実現した世界はとてもワクワクします

軌道エレベーターは、未だに夢でしかない。それが実現するには、様々な困難を乗り越えていかないとできない。数十年後になって実現していたらいいな。そんな物です。
それでも軌道エレベーターが実現した世界を想像すると楽しく感じてしまう。そうした夢を感じさせる物なんですね。