桜餅は長命寺と道明寺がある?違いは何?知っているようで知らない桜餅の秘密とは?
- 2018.01.30
- 行事
春が近づくにつれて、スーパーマーケットなどの店頭でも見かけるようになるお菓子が桜餅です。まだ寒い時期に桜餅を見かけると、春が待ち遠しくなりますね。スーパーマーケットや小さなお菓子屋さんでは、季節限定で販売しているようです。身近なお店では1年を通して見かけることはありませんが、本来は雛祭りの季節に限定されるお菓子ではありません。
しかも、桜餅には地域によって2種類あるって知っていましたか?実は東西で桜餅は違うのです。その違いとは何でしょう。
桜餅は2種類ある。長明寺と道明寺の違いとは?
桜餅には関東風と関西風の2種類があります。関東風も関西風もそれぞれの良さがありますが、一番の違いは生地の材料です。
関東風・長命寺
享保2年(1717年)、東京の隅田川沿いにあった長命寺の門番の山本新六が、川沿いに植えられていた桜の落ち葉に困り、考案したと言われています。隅田川の桜の落ち葉を集めて塩漬けにし、桜餅として販売したところ、人気が出たそうです。
関東風の桜餅は、小麦粉を水で溶いた生地を薄くのばして加熱し、餡を包んで桜の葉で巻いたクレープのようなお菓子です。
関西風=道明寺
ルーツは戦国時代まで遡ります。大阪にある道明寺というお寺で作られていた「糒(ほしい)」が基になっており、糒を挽いて粉にしたものを道明寺粉と呼ぶようになりました。後に和菓子を道明寺粉で作るようになったのですが、桜餅に使われるようになった時代は分かっていません。現在では、道明寺粉の原料にはもち米が使われています。
糒は米を蒸してから乾燥させた保存食のことです。水をかけただけでも食べることができ、持ち運びにも便利で長期保存ができる優れた食糧でした。
関西風の桜餅は、道明寺粉を加熱して餡を包み、桜の葉で巻いた、もちもちした食感のお菓子です。
桜餅の名前の由来
桜餅と聞いて思い浮かぶのは、淡いピンク色に染められた可愛らしい姿ではないでしょうか。「桜色に染められているから桜餅と名付けられた」「桜の季節に店頭に並ぶから桜餅と呼ぶ」などと思っている人がいるかもしれません。ですが、桜の葉で巻かれているから桜餅と呼ばれるのです。ピンク色に染めない白い生地の桜餅も存在しますし、1年中買うこともできます。
桜の葉なら何でも塩漬けにできる?桜の葉の役目は?
売られている桜の葉の塩漬けは、「オオシマザクラ(大島桜)」という品種の葉が使われおり、ソメイヨシノの葉ではありません。オオシマザクラの葉の塩漬けは、伊豆の松崎町で7割以上が生産されています。オオシマザクラが使われる理由は、柔らかくて産毛が少なく、香りが良いからです。ソメイヨシノでも塩漬けは作れるそうですが、香りが少なく硬いようです。
桜の葉は、そのままでは良い香りがしません。漬け込む過程で「クマリン」という物質が生成され香りが出てきますが、この香りを付け、お餅の乾燥を防ぐ役目が、桜の葉の塩漬けにはあるのです。
オオシマザクラは別の名を「タキギザクラ」といい、名前のように薪に利用されたり、工芸品の材料になったりしてきました。葉まで食用に用いられる、生活に欠かせない大切な木だったと言えます。
桜餅の葉は食べる?食べない?
桜餅に巻かれている桜の葉ですが、食べる人もいれば残す人もいます。では、どちらが正解なのでしょうか。
答えは「人それぞれ」です。葉の風味ごと味わってほしいというお店もありますが、長命寺桜もちは葉を3枚も使っていることから、はがして食べることを勧めています。結局は自分の好きな食べ方で良いようです。
桜餅と長命寺と道明寺についてのまとめ
・桜の葉で巻かれているから桜餅と呼ばれる。
・関東風は小麦粉を溶いた生地で作られる。
・関西風は道明寺粉から作られる。
・桜の葉はオオシマザクラ(大島桜)を使う。
2種類の桜餅を購入できない場合には、作って食べ比べてみてはいかがでしょうか。
白いままでも良いですが、ピンク色をつけてある道明寺粉もインターネットで購入できます。