知っているようで本当は知らないセミの一生とは? ~蝉が生まれてから死ぬまで~

知っているようで本当は知らないセミの一生とは? ~蝉が生まれてから死ぬまで~

あなたは蝉の一生についてどれくらい知っていますでしょうか?

卵からかえり、地中にもぐり、長期の地中生活を終え、地上に出てくる。
そして1週間ほど大きな声で鳴き、生涯を終える。

大抵の方でも、これくらいの知識はあると思います。
しかし、いざ蝉の一生ってどうなっているんだろう、と詳しく考えたことって意外とないのではと思います。

そこで、そんな蝉の意外と知られていない一生について、少し詳しく紹介します。

セミの一生のスタート ~蝉の誕生~

youtube@大阪市立自然史博物館

蝉の卵は、木の枯れ枝に産み付けられます。
大体、メス1匹につき数百個の卵を産むそうです。
メスは産卵管を枯れ枝にさし、その穴の中に卵を産みます。

枯れ枝に卵を産む理由

なぜ生きた木ではなく、枯れ枝に卵を産むのか、ですが、生きた木だと、卵を産んだ穴がふさがれてしまうからです。

メスは一つのあなに卵を全部産むのではなく、一つの穴に数個産むとまた他の場所に産卵管をさし、数個産むことを繰り返します。

蝉が卵からかえる時期

こうして枯れ枝に産み付けられた卵は、翌年の梅雨まで卵の状態で過ごします。
そして梅雨がくると、卵から出てくるのです。
いよいよ蝉の誕生です。

卵から出てきた蝉は、ものすごく小さな魚のような形をしているそうです。
幼虫は木を降り、地中へと潜っていきます。

さあ、ここから長い地中生活が始まるわけです。

セミの一生のメイン ~長い地中での幼虫生活~

蝉の幼虫は、地表から20~70センチほど潜るようです。
そこで、木の根の樹液を吸って生きます。

地中にいる期間は種類によって様々ですが、2・3年で地上に出てくるものから、最も長くて17年のものまでいます。

なぜ、蝉は地中生活を行うのか?

「蝉はどうしてそんなに長く土の中にいるの?」と疑問に思っている方は多いと思います。

それは、木の根の樹液は、栄養分が薄いので、蝉の成長はゆっくりになってしまうからです。
それが蝉が長く地中にいる理由なのです。

蝉の成長期

蝉の幼虫には、年に2回の成長期があり、それぞれ1か月程だそうです。
つまり年に2か月しか成長しないということです。

蝉の幼虫は地上に出てきて、最後に脱皮をして成虫になる、ということに関しては、多くの方が知っていると思いますが、実はこの地中生活の間にも数回脱皮をしているようです。

地中生活と敵

地上での敵を避けて地中にもぐりこんだのかな、と考えますが、地中にも、モグラやケラなどの天敵がいます。
それら天敵に食べられてしまうものもいれば、菌に侵されて死んでしまうものなど、成虫になれない蝉は沢山います。

真っ暗な地中で一生が終わるなんて辛いですよね。

そして、長い地中生活を終え、運よく天敵から逃れられた蝉たちだけが、地上へと出ることができるのです。

蝉の一生、ハレの舞台 ~成虫になる蝉たち~

youtube@morinokuma7

長い地中生活を終えた蝉たちは、夕方ごろに地上へと出てきます。

地上に出てくる時期は種類によってまちまちです。
4月や5月など春に出てくる蝉もいれば、6・7・8月などの夏真っただ中に出てくる蝉もいます。

幼虫から脱皮して成虫へ

地上に出てきた蝉は、木を登ります。
そして適当なところで止まり、最後の脱皮を始めるのです。

初めは、背中が割れてきます。
そして白い身体が出てくるのです。
その後足を抜き、逆さ吊り状態で足が乾くのを待ちます。

足が乾くと全体を殻から出し、羽を伸ばし乾くのを待つのです。

この脱皮したての蝉はものすごくきれいに見えるそうです。

時間がたつにつれ、だんだんと色がついてきます。
そして朝にはすっかり成虫の姿になり、空を飛べるようになります。

空を飛べるようになっても、まだ鳴くことはできません。

また、鳴けるのはオスだけなのです。
数日経つとようやく鳴けるようになります。

蝉の一生、新たな命のために ~蝉の交尾~

youtube@ottch san

さて、鳴けるようになったオスは、必死に鳴いてメスを呼びます。
オスは二股三股と、沢山のメスと交尾ができるそうです。
一方でメスは、沢山のオスの中から気に入ったオス一匹とだけ交尾をします。

ここで、非常に残念なことがおきるのです。
オスは沢山のメスと交尾ができても、メスは一匹のオスとしか交尾ができないということは、どうしても唯一の使命である
「交尾」のできないオスが現れてしまうわけです。
悲しいですね。。。

さて、自由に飛び、鳴けるようになった蝉には、沢山の天敵がいます。
鳥、足長蜂、カマキリ、クモ。
日々これら天敵に狙われています。
勿論、残念ながら天敵に食べられてしまうものも多くいます。

そんな蝉が成虫として生きる期間は、一般的には1週間や2週間ほどだと思っている方が多いと思います。
ですが、実はそれは間違いなのです。

蝉の成虫が1週間や2週間で死んでしまうというのは、飼育が難しいことからきており、実際自然界では一か月程は生きているそうです。
(私がこれを知った時は、少し驚きました。)

蝉の一生の終わり。そして、次世代へ…

そして、蝉の一生もそろそろ終わりです。
交尾を終えたメスたちが子孫を残すために卵を産みます。
卵を産み終わると、あとは残された時間を生き、やがて死に至るのです。

いかがでしたか?少しは蝉のことをわかっていただけたでしょうか?疑問は晴れま
したでしょうか?この記事を通して皆さんの蝉の知識を少しでも深められれば、私と
しても嬉しい限りです。