蝉時雨(蝉しぐれ)の意味と時雨に隠された意図とは?季語としての使いかたもマスターする!
蝉時雨(蝉しぐれ)という言葉は聞いたことがあるけど、どういう意味なのか?
季語としてはどう使えばいいの?
蝉時雨に鳴いている蝉の種類は?
このような疑問を持っている方がいらっしゃると思います。
この記事では、そんな疑問が解決できるよう、蝉時雨(蝉しぐれ)という言葉についての説明をします。
蝉時雨(蝉しぐれ)ってどういう意味なのか?季語としての使い方は?
蝉時雨(蝉しぐれ)の意味
蝉時雨(蝉しぐれ)とは、多くの蝉が一斉に鳴いている声を時雨の降る音に例えた語です。
万葉集でも蝉を使用しているように、蝉の鳴き声は昔から人々の感情に共鳴してきました。
季節を感じさせてくれたり、時には寂しさや悲しみを感じさせてくれたり、暑いはずなのに涼しげな鳴き声で涼しさを感じさせてくれたりします。
そんな人々の感情に非常に共鳴する鳴き声だからこそ、この言葉が生まれたのでしょうね。
なぜ、蝉「しぐれ」なのか?
夏になると、蝉たちが一斉に鳴きだします。
どこもかしかも蝉の鳴き声に包まれます。
「あ~、また蝉のうるさい時期がやってきた」と嫌気がさす方もいますよね。
蝉たちは、一斉に鳴きだしたと思うと一斉に鳴き止んだりします。
しかも、蝉の鳴き声は基本的には上の方から聞こえますよね。
頭上から蝉の鳴き声が降ってくるわけです。
このように一斉に鳴きだしたと思うと、一斉に鳴き止む蝉の鳴き声を「突然降ってきた雨がいきなり止んでしまった(=しぐれ:時雨)」というイメージになぞらえているわけです。
私自身も、夏に蝉が大量に鳴きだすと、「あ~、まるで土砂降りの雨でも降ってるかのように蝉が鳴いているな」と思うことがよくあります。
季語としての蝉時雨(蝉しぐれ)とは?
そんな蝉時雨(蝉しぐれ)は、言うまでもなく夏の季語として使われます。
季語としての使い方に決まりはありませんが、夏の暑さを表す際に使ったり、晩夏に夏を惜しむ気持ちを表す際などに使われます。
この言葉は映画やドラマなどのタイトルにもよく使われていますよね。
俳人 正岡子規は、蝉時雨(蝉しぐれ)を使ったこんな句を残しています。
『人力の森に這入るや蝉時雨』
『汗を吹く茶屋の松風蝉時雨』
俳句では、17音の中に五感をどう表現するかに非常にこだわります。
蝉しぐれの一言で、じりじりとした夏の暑さが、蝉の声として表現されています。
蝉時雨(蝉しぐれ)に鳴いている蝉って?
あなたは「(蝉時雨)蝉しぐれ」と聞いてどんな蝉の鳴き声を思い浮かべますか?
あなたの頭の中に思い浮かんだ蝉の鳴き声が、あなたにとっての「蝉時雨(蝉しぐれ)に鳴いている蝉」です。
なぜなら、蝉しぐれという言葉に蝉の種類は決められていないのです。
どんな蝉の鳴き声でも、その人がしぐれのように思えば、それは蝉時雨と言えるでしょう。
蝉時雨(蝉しぐれ)で鳴いている蝉の種類
とはいえ、万葉集などには、よく「ヒグラシ」が用いられています。
そういう意味では「ヒグラシ」が蝉しぐれに鳴く蝉では最も中心的な存在なのかもしれませんね。
私の場合も、「蝉時雨(蝉しぐれ)」と聞いて真っ先に思い浮かぶ蝉の鳴き声は、アブラゼミやヒグラシの鳴き声です。
アブラゼミやヒグラシは夕方によく鳴きます。
夏の夕方と言えば夕立がよく降りますよね。
夕立が降る時間帯とアブラゼミやヒグラシの鳴き声の時間帯が一緒なので、非常にマッチしているように思います。
またヒグラシの鳴き声は、晩夏に夏を惜しむ気持ちにぴったりだと思っています。
朝晩が少し涼しくなってきたころの夕方、ヒグラシの何とも言えない寂しげな鳴き声の蝉しぐれが聞こえて、「今年ももう夏が終わるんだな」と寂しい気持ちが増すイメージですね。
このように、蝉時雨(蝉しぐれ)に鳴いている蝉は「ヒグラシ」が中心的な存在かもしれませんが、上記にも書いたように蝉の種類が決められているわけではありません。
あなたにとっての「蝉時雨に鳴いている蝉」を考えてみてください。
すると、蝉しぐれのことだけでなく、自分の考え方などもわかってくるので面白いですよ。
まとめ
いかがでしょうか。
蝉時雨(蝉しぐれ)について、少しはおわかりいただけたでしょうか?
しぐれの降る音のように感じさせたり、人の気持ちを色々と左右させる蝉の鳴き声はすごいですね。
この記事が少しでも皆さんのお役に立てていれば嬉しく思います。
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